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「すまんのぅ。わしん所の神様は天気でも仕事が片付かんと橋ば渡らしてくれんちや。」


辰馬は何時もの微苦笑を銀時へと向けた。
途端、ボカンと銀時の拳が辰馬の右頬へと炸裂する。


「遅刻するたぁ良い度胸じゃねぇかっ!」


銀時が立ち上がってバランスが悪くなった所にもって殴られて、辰馬は勢い良く店の外へと転が

っていった。
驚愕と興奮の余り肩で息をする銀時。
嬉しいのについつい反射的に辰馬を殴ってしまう。

よろよろと起き上がる辰馬を尻目に銀時は再び店の長椅子へと、ドッカと腰を降ろし先程注がれ

た酒を一気に呷った。
よっこらしょっと長椅子の端に腰を降ろした辰馬は少し紅く染まった右頬をさすりつつ銀時へと

言葉をかける。


「すまん…ホントにすまん。今夜はゆっくり出来るき、勘弁しとうせ?」


勿論奢るきに…と付け加えると平謝り体で銀時に頭を下げた。


「仕方ねぇな…。」


内心では許しているが敢えてそう口にする銀時。
来てくれただけでも正直嬉しいのだが…それを素直に言えないのが彼らしく。
ホッとした様子の辰馬は店主が置いたコップを手に取り、乾杯のつもりか銀時へ向けてからグイ

ッと飲み干す。


ふぅーっ…。
酒を含んだ息を大きく吐き出して心地良さ気な辰馬。


「効くのぅ…。此処数日死ぬ気で仕事したき。」


ポツリと呟く。
其の言葉に辰馬の顔をマジマジと見ると、サングラスの下の目元にはクッキリとクマが。
以前に比べて頬も僅かに窶れている様子で。
ハッキリと約束した訳でも無いのに自分に無理して会いに来たかと思うと胸が熱くなった。

しかし労いの言葉など口に出来る訳も無く。


「オヤジぃ、じゃんじゃん酒注いじゃってくれよぉ。今日は飲み明かそうぜ。」


それだけ言うと辰馬のポンポンと肩を叩いた。
途端…グラリと辰馬の体が倒れて、銀時の肩へモサリとした毛の頭が乗っかる。
見れば辰馬はスヤスヤと…心地よさそうな小さな寝息を立てて眠りの国へと旅立っていた。

一気に飲んだコップ酒が回ったらしい。

余程疲れていたのだろう。
それだけ無理をしたという事か。
呆れながらも笑顔で目を細める銀時。

小声で店主に声を掛ける。


「今日はもう帰るわ。ありがとよ。」


そういうと台の上にお勘定を置いて暖簾を上げた。
宙は満天の星。
横切るのは天の川。

きっと今頃宙のバカップルも逢瀬を楽しんでいるんだろう。
銀時は苦笑の儘軽く溜息を吐くと、グッスリと眠った辰馬を背負い店を後にする。

川縁の暗い夜道に吹く心地良い夜風。
それを受けながら歩く重い筈の銀時の足取りは…何だか軽く見えるのだった。

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